ふたりのトリセツ

コラム・データで見るMBTI

性格診断を「自分から」やるのは、いつも同じ性格の人だった - MBTIアプリ2,290人のデータで見えた話

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自分で作ったアプリのデータを眺めていて、面白いことに気づいた。

来てる人の性格が、かなり偏ってる。

1月に「ふたりのトリセツ」っていうWebサービスをリリースした。MBTI(16タイプの性格診断)と独自のラブタイプを組み合わせて、カップルの相性を診断したり、ケンカの仲裁をAIにやらせたりできるやつ。本業はAIエンジニアで、これは個人開発。

リリースから半年、直近SEO流入がうまくいき、そこそこ人が使ってくれるようになって、累計で2,290人が診断を実行してくれてた(正確には、本番DBに残ってる匿名の診断主体が2,290人ぶん)。

せっかくデータが溜まったので、「どういう人が使ってるんだろう」と思って中を覗いた。恋愛系だし、まあ社交的で明るい人が多いのかな、くらいの軽い気持ちで。

出てきたのは、想像と全然違う顔ぶれだった。

直観型(N)が、一般人の2.4倍いた

MBTIは4つの軸でできてる。外向(E)/内向(I)、感覚(S)/直観(N)、思考(T)/感情(F)、判断(J)/知覚(P)。この組み合わせで16タイプ。

うちのアプリに来た2,290人を、この4軸にバラして、一般人口の分布と並べてみた。一般人口の数字はMyers-Briggs財団系の集計値(出典は最後に)。

MBTIの4軸(N/S・F/T・P/J・I/E)について、うちのアプリ利用者と一般人口の割合を並べた棒グラフ
うちのアプリ利用者(n=2,290)とMBTI一般人口の4軸比較。N(直観)が63.5%対26.7%で差が最大。

一番おかしいのがN(直観)。一般人口だと26.7%、だいたい4人に1人くらいのレアな属性なのに、うちのアプリでは63.5%。2.4倍

直観型(N)ってのは、ざっくり言うと「目の前の事実そのものより、その裏の意味やパターン、可能性のほうに意識が向くタイプ」。逆の感覚型(S)は「具体的な事実・現実・今ここ」を重視する。日本人の多数派はSと言われてる。

そのSが、うちでは少数派に転落してた。

他の軸も、だいたい同じ方向に振れてる。F(感情)74.2%(一般59.8%)、P(知覚)61.4%(一般45.9%)、I(内向)58.5%(一般49.3%)。内省的で・柔らかくて・好奇心で動くタイプの属性が、軒並み多めに出てる。

あと地味に面白かったのがE(外向)。恋愛系アプリだから、外向的で社交的な人が多いのかと思いきや、逆だった。外向41.5%に対して内向58.5%で、内向のほうが多い。一般人口だとほぼ半々(外向50.7%)なのに、うちはむしろ内向に寄ってる。

「みんなでワイワイ」より「一人でじっくり自分と相手を分析したい」人が集まってる、って感じ。恋愛アプリのイメージと違っていて、ちょっと笑った。

「自分でやる人」と「連れてこられる人」がいる

もう一個、これが個人的に一番面白かった。

うちのアプリは基本、「自分の型」と「相手の型」を両方入れて相性を見る。つまりデータには、

  • 診断を実行した本人の型(=自分から開いた人)
  • その人が入力した"相手"の型(=名前を挙げられた側)

の2種類が記録される。

この2つをタイプ別に数えて、「自分でやる ÷ やらされる」の比を出してみた。1より大きいと「自分から診断を開くタイプ」、1より小さいと「たいてい恋人に連れてこられるタイプ」。

MBTIタイプ別に、自分から診断を実行した数と相手として申告された数の比を示した棒グラフ
「自分でやった数 ÷ 相手として申告された数」の比。1より上=自分から開く傾向、下=連れてこられる傾向。

きれいに割れた。

自分から開く側のトップはINFP(1.65)、次いでINTP(1.46)、INFJ(1.33)。逆に連れてこられる側はESTJ(0.41)、ISTP(0.43)、ENTJ(0.50)。

INFP(仲介者とか呼ばれるタイプ)とINTP(論理学者)は、自分から性格診断アプリを開く率が高い。一方でESTJ(幹部)やISTP(巨匠)は、自分ではまず開かない。恋人に「ねえこれやって」と言われて、渋々型を入力させられてる側。

これは、なんとなくわかる。

「効率」「現実」「実務」を重視するタイプほど、自分の性格をアプリで分析するみたいなフワッとした行為に、自分から時間を使わない。逆に、内省的で「自分ってどういう人間なんだろう」を考えるのが好きなタイプほど、こういうツールをつい開く。

念のため強めに釘を刺しておくと、これは「ESTJは恋愛の相性が悪い」とか、そういう話では一切ない。単に「自分から診断ボタンを押すか、押さないか」の傾向の話。押される頻度と相性は完全に別モノなので、そこは混同しないでほしい。ESTJの人、安心して。

相手がいらない新機能でも、同じ顔ぶれだった

ここまでの話には、実は弱点がある。

「自分でやる ÷ やらされる」の比って、結局"相手を誘って一緒にやる"っていうアプリの構造に引っ張られてる可能性がある。誘う側と誘われる側がいるだけで、性格とは関係ないんじゃないの、という反論が成り立つ。

で、ちょうどいい実験台になったのが、7月に足したばかりの新機能。「相手を入れずに、自分の型だけで診断する」モード。誰かを誘う必要がまったくない、完全に一人で完結するやつ。

稼働1〜2日で507件。まだ少ないけど、タイプ別に並べるとこうなった。

相手不要の新機能について、16タイプ別の利用件数を並べた横棒グラフ。ENFP・INTP・INFPが上位
相手のいらない新機能のタイプ別利用数(稼働1〜2日・計507件)。青はペア診断でも「自分から開く側」だった3タイプ。

ENFP(140件・27.6%)、INTP(83件・16.4%)、INFP(59件)。

さっきの「自分から開く側」と、ほぼ同じ顔ぶれ。相手を誘う口実がゼロでも、この人たちは「自分の性格を知りたい」ってだけで勝手に診断してる。

アプリの構造のせいじゃなくて、性格の話だった。

※新機能はまだ稼働2日目の数字なので、これは参考値。数が増えたらまた見てみる。

なんでこの性格の人が集まるのか、調べてみた

ここまで来ると、なんでこうなるのか気になる。仕事柄、変な数字を見ると理由を調べたくなるたちで、少し調べてみた。

いくつか裏付けらしきものが見つかった。

1つ目。「開放性」という性格特性。

心理学にBig Five(性格を5次元で測るやつ)っていう、MBTIより学術的に信頼されてる枠組みがある。その中に「開放性(Openness to Experience)」という次元があって、これは好奇心・新奇性の追求・想像力・美的感受性みたいなものを指す。この開放性が、MBTIのN(直観)と概念的に重なる部分がある、と言われてる(別々の測定体系なので完全にイコールではないけど)。

好奇心が強くて、抽象的なことを考えるのが好きな人ほど、「性格診断」みたいな自己分析ツールを面白がる。これをズバリ実証した研究は見つけられなかったので断定はしないけど、方向としては納得がいく。

2つ目。ネット上のMBTI人口は、そもそも偏ってる。

もっと直接的な傍証。SNS上のユーザーを分析した学術研究(arXiv)で、オンラインコミュニティではINFPが最多(11.85%)、INFJが2位(9.93%)だった、という報告がある。この2タイプ、一般人口だとかなりレアなはずなのに、ネット上では逆転してトップに来る。

うちのアプリでもINFP・INFJは上位。つまり「MBTIを語りたがる・診断したがる人がネットに偏って集まってる」っていう独立した現象があって、うちのデータもその一例っぽい。

3つ目。自分のアプリの解説文とも合ってた。

手前味噌だけど、うちのアプリ自身のタイプ解説とも整合してた。MBTIには16タイプを4グループに束ねる分類があって、その1つが「外交官(Diplomats)」=INFJ / INFP / ENFJ / ENFP。共感的で理想主義的、人の内面や関係性に強い関心を持つグループ。

うちで来訪の多かった上位5タイプ(ENFP・INFP・ISFP・INFJ・ENFJ)のうち、4つがこの外交官グループだった。残る1つのISFPは別グループ(探検家)だけど、感受性が強くて情緒的なタイプではある。

MBTIの4グループ(外交官・探検家・分析家・番人)別に診断主体数を並べた横棒グラフ。外交官が45.5%で最多
4グループで見た利用者の構成(診断主体n=2,290)。外交官グループだけで45.5%を占める。

グループで束ねると、外交官だけで全体の45.5%。4グループを均等に割れば25%ずつのはずなので、はっきり偏ってる。関係性の話が好きな人たちが、カップル相性診断アプリに集まってる。まあ、そりゃそうか、って感じ。

正直に書いておくべきこと

面白いデータではあるんだけど、調子に乗って断定すると事故る。誠実に、限界も書いておく。

まず大前提。これは「日本人の性格分布」じゃない。「うちのアプリにわざわざ来た人」の分布。自己選択サンプルってやつで、母集団が最初から偏ってる。「日本人はN型が多い」とか、そういう一般化は一切できない。

あと、MBTIそのものについて。実はMBTIは、心理測定としては学術的に信頼性・妥当性への批判がそれなりにある。「同じ人が数週間後に測ると型が変わる」とかね。だから「科学的に証明された性格タイプ」みたいな書き方はしないし、この記事も「自己申告のちょっとした遊び」の上に成り立ってる話として読んでほしい。

その証拠っていうか、うちのデータでも2,290人中220人(9.6%)は、診断のたびに違う型を自己申告してた。入力ミスか、1つの端末を複数人で使い回してるか、あるいは本当に気分で型が揺れてるか。完璧なデータじゃない。

もう一個、正直な話。「じゃあN型・外交官型ほど熱心にリピートしてるんでしょ」と言いたくなるけど、そこはきれいに割り切れなかった。診断の平均回数や"試した相手のタイプ数"を見ると、探索の幅が一番広かったのは実はISFJ(擁護者・番人グループ)だったり、リピート率が一番低かったのが好奇心の塊のはずのENTPだったりする。「N型ほど診断好き」は入口の話としては言えても、その後の行動まで全部きれいに説明できるほど単純じゃなかった。

データは、そんなにきれいに一直線にはならなかった。

で、これは強みなのか弱みなのか

運営者としては、この偏りをどう受け止めるか、けっこう悩ましい。

いいほうに解釈すれば、「刺さる層がはっきりしてる」。内省的で、関係性を言語化したくて、自分と相手を分析するのが楽しい人たち。この層には、気持ちいいくらい届いてる。

悪いほうに解釈すれば、「実務型・現実型の人にはまったく届いてない」。ESTJやISTPみたいな「そういうの興味ないわ」層は、恋人に連れてこられて渋々やってるだけで、自分からは来ない。

今回のデータで見えたのは、刺さってる人にはちゃんと刺さってるけど、刺さってない層はごっそり抜け落ちてる、という構図だった。それを「うちはこういう人向けです」と割り切るのか、それとも「もっと広げにいく」のか。

正直、まだ答えは出てない。出たら、また書く。

ちなみに、データはまだ増えてる

今回見たのは2,290人ぶん、診断ログにして5,138行のデータ。ただこのアプリ、ここ最近わりと使われるようになってきてて、直近7日は平均で1日395件くらい診断が走ってる(週で2,700件ペース)。

直近2週間の日次診断件数の棒グラフ。7/9の108件から増え、7/18にピークの512件
日次の診断件数(2026-07-09〜07-22の実測)。後半の週は毎日300〜500件台で推移。

直近2週間は毎日300〜500件台で、ピークの7/18は512件だった。

だから今回の数字は「まだ増えてる途中のスナップショット」でしかない。データが厚くなってきたら、今回みたいなざっくり集計じゃなくて、もう少し踏み込んだ切り口——タイプ別のリピートの癖とか、時期による変化とか——でも見てみたい。溜まったら、また覗く。

おわりに

まとめると、

  • うちのMBTIアプリは、N(直観)型が一般人口の2.4倍。内省的・好奇心で動く人にかなり偏ってる
  • INFP・INTPは自分から診断する。ESTJ・ISTPは恋人に連れてこられる
  • 相手のいらない新機能でも同じ顔ぶれ=アプリの構造じゃなくて、性格の話だった
  • ただし自己選択サンプルだし、MBTI自体そんなに厳密なものでもないので、話半分で

自分のプロダクトのデータを覗くの、こんなに面白いと思わなかった。数字の向こうにいる人の雰囲気が、なんとなく伝わってくる。俺のアプリは、俺が思ってたより「特定の性格の人のための場所」だった。

もしあなたが「自分と相手の性格、ちゃんと言語化してみたい」タイプなら、たぶんうちのアプリは刺さる。逆に「そういうの興味ない」タイプなら、まあ恋人に連れてこられたときにでも、渋々どうぞ。

※統計をもっと真面目に読んで、"届いてない層にどう届けるか"を考えたら、続報を書きます。答えが出ればの話だけど。

出典・関連記事

この分析をどう設計したかの裏側は、開発元Cognisantの記事に書いた: プロダクトの実データ2,290人から行動傾向を読む

※本文中の自サイトの数値はすべて、本番DBの実データ(2026年1〜7月・診断主体2,290人)に基づく実測値です。MBTIは自己申告に基づく性格分類であり、学術的な信頼性・妥当性には議論があります。本記事の数値は自サイト利用者という偏ったサンプルの傾向であって、日本人一般やMBTI理論そのものを証明するものではありません。また、診断頻度と相性の良し悪しは無関係です。

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この記事のよくある質問

なんでN(直観)タイプがそんなに多いの?

はっきりした理由は断定できませんが、好奇心が強くて自己分析を面白がる人ほど、この手の診断ツールを自分から開きやすいと考えられます。ネット上のMBTI人口を調べた学術研究でも、一般人口だとレアなINFP・INFJがトップに来る偏りが報告されており、当サイトのデータもその一例とみられます。

診断でよく出てくるタイプ=相性がいいタイプ、ということ?

違います。この記事の数字は「どのタイプが自分から診断するか/相手として名前を挙げられるか」の頻度の話で、相性の良し悪しとはまったく関係ありません。診断される回数が多いことと、恋愛がうまくいくかは、完全に別モノです。

このデータはどこから取ったの?

「ふたりのトリセツ」の本番データベースに実際に記録された、匿名の診断ログ(診断した人2,290人ぶん)の集計です。特定の個人を識別する情報は使っていません。期間は2026年1〜7月ぶんです。

MBTIって科学的に正しいの?

MBTIは心理学の世界では信頼性・妥当性への批判もある測定で、「科学的に証明された性格」と言い切れるものではありません。この記事も、あくまで自己申告の診断で遊んだ結果として読んでください。実際、当サイトのデータでも9.6%の人は測るたびに違うタイプが出ていました。

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