コラム・MBTIと流行りのことば
テト女とMBTIの対応表を作ろうとして、やめた - 韓国発の呼び名を調べたら思ってたより別物だった話
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「あの子テト女っぽいよね」みたいな投稿を、ここ1年くらいで何回か見かけた。文脈でなんとなく意味は取れるけど、正確なところは知らないまま流してた。
うちはMBTIとラブタイプの相性診断を作ってるので、新しい性格の呼び名が出てくると一応気になる。で、調べた。最初に思ってたのは「MBTIの16タイプと対応表を作ったら便利そう」くらいのことだった。
対応表は作らなかった。調べたら、この2つはそもそも形が違った。その話を書く。
「テト女」「エゲン女」って何なのか
まず言葉のほうから。テトとエゲンは韓国発の呼び名で、テストステロン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)の名前を縮めたものだと説明されてる。そこに「男」「女」が付いて4つの呼び方になる。
ただ、ホルモンの数値を測る話ではない。Forbes JAPANの記事も、ホルモンの多い少ないというより性格を指す言葉として使われている、という書き方をしてる。名前をホルモンから借りただけで、中身は「行動的なほうか、感性的なほうか」くらいの話らしい。
| 呼び名 | 韓国語 | こう言われている特徴 |
|---|---|---|
| テト男 | 테토남 | 外向的で行動力があり、主導したがる |
| テト女 | 테토녀 | 活発で独立心が強く、現実志向 |
| エゲン男 | 에겐남 | 内面を重視して穏やか、感情に寄り添う |
| エゲン女 | 에겐녀 | 感性が豊かで、穏やか |
相性の話もセットになってる。足りないところを補い合う組み合わせが好まれるらしい。テト男×エゲン女、エゲン男×テト女がよく挙がる。うちがやってる相性診断と、話の骨格はけっこう近い。
経緯のほうも書いておく。2024年の春にインスタの漫画家がこの分類をネタにした作品を出したのがきっかけで、2025年に入ってからTikTokとInstagramで診断テストが広がった、という順番らしい。日本語の記事がまとまって出てきたのは2025年の5月から8月あたり。有名人を当てはめる遊び方で伸びたようで、BTSのジョングクがテト男の例に挙がってた。
※ホルモンの名前が付いてるけど、ホルモンの量で性格が決まるという話ではない。Yahoo!ニュースに載った記事は「科学的な裏付けはなく、あくまでエンタメ的に楽しむことが前提」と書いてる。韓国語のメディアだと、もっと直接「非科学的」という言葉で書かれてる。
説明が逆になってるページがあった
調べてる途中で、ちょっと気になることがあった。日本語で「エゲン テト」を検索すると、2つの説明が入れ替わってるページが出てくる。エゲンのほうが論理的・分析的で、テトのほうが感情的・共感的、と書いてあるやつ。
上に書いたとおり、元の説明はこの逆。テトが直線的で主導的、エゲンが繊細で共感的。Forbes JAPANもYahoo!ニュースの記事も、韓国語のメディアも、そっちで揃ってる。どこかで取り違えたページが、そのまま日本語の検索結果に残ってる感じだと思う。
笑い話として書いてるんじゃない。ここ、たぶん大事なところだと思う。広まってから2年ちょっとの言葉で、定義がまだ固まりきってない。それでも「あの子テト女っぽい」は普通に通じる。つまりこの言葉が実際に運んでるのは厳密な定義じゃなくて、「なんとなくこっち寄り」という感覚のほうなんだと思う。
MBTIと並べたら、線の本数が違った
本題。MBTIの4軸(外向/内向・感覚/直観・思考/感情・判断/知覚)と、テト/エゲンを並べてみる。
いちばん近いのは思考/感情(T/F)の軸だと思う。「直線的に言う・課題を先に片付ける」がテト側、「共感して、遠回しに気をつかう」がエゲン側という説明の仕方は、TとFの説明とかなり似てる。外向/内向(E/I)も少し混ざってる。テト側の説明に「主導したがる」「独立心が強い」あたりが入ってくるので。
だから「E×Tっぽい人はテト寄りって言われやすいかもね」くらいのことは言える。逆に、そこから先の対応表は作れない。理由が3つあった。
- 線の本数が違う: テト/エゲンは1本、MBTIは4本ある。4本を1本に潰して押し込むと、残りの3本ぶんが消える
- 片方は性別とセットになってる: テト男とテト女で名前が分かれてる。MBTIのINTPは、男女で名前が変わらない。人の切り分け方そのものが違う
- テト/エゲン側の定義がまだ揺れてる: 動いてるものに固定の表を作ると、表のほうが先に嘘になる
3つ目は正直うちの都合でもある。表を1回作ってサイトに置いたら、あとから直すのは面倒だし、たぶん直さないまま残る。それで嘘が残るなら、最初から置かないほうがいい。
韓国では、わりと真面目に批判もされてる
もう一つ、日本語の記事にはあまり出てこないけど、韓国側では批判もセットで出てる。これは調べてみて初めて知った。
心理学の研究者のコメントを載せてる記事があった。複雑な人間を単純な型に押し込めようとすると、考え方のほうが狭くなる、という指摘。別の記事だと、性別の二分法をかえって強めることになるんじゃないか、この分け方だとそもそも入る場所がない人がいるんじゃないか、というところまで踏み込んでる。
ファッション誌が「テトとエゲン、やたら疲れると感じるなら」みたいなタイトルで記事を出してるくらいには、疲れの側の話も表に出てる。診断で判定されること自体に飽きてる、という空気は韓国にもあるらしい。
これは他人事として書けない。うちがやってるのも人を型に分けて相性を出すサービスなので、同じ批判の射程にまるごと入ってる。
型は、自己紹介のとっかかりでちょうどいい
じゃあどうするのか、という話。うちの立場は前から変わってなくて、型は当てにいくものじゃなく、話のとっかかりに使うものだと思ってる。
テト/エゲンが2年で広まったのは、たぶん精度が高いからじゃない。「あの子テト女っぽいよね」が一言で通じて、そこから会話が続くからだと思う。自己紹介のラベルとして軽くて便利。MBTIの4文字が広まったのも、だいたい同じ理屈だと思ってる。
便利なラベルは、そのぶん雑でもある。テト女と言われた人が全員同じわけがない。そこは言ってる本人もわかって使ってるはず。むしろ雑さも込みで面白がってるくらいが、ちょうどいい気がする。
うちの相性診断で出るのも、「こういうところでズレやすいらしい」という話まで。それ以上は書いてない。書けないから書いてない。で、実際にズレたときどうするかは、AIに相談する機能のほうに寄せてある。判定するより翻訳するほうが役に立つと思ってるので。
まとめると、
- テト/エゲンは韓国発の呼び名。テストステロンとエストロゲンから名前を借りただけで、ホルモンを測る話ではない
- 2024年にインスタの漫画から広まって、2025年に日本語のメディアにも出てきた
- MBTIとは「思考/感情の軸に近い」までは言えるけど、対応表にはできない。1本の線と4本の線で、しかも片方は性別とセットになってる
- 韓国では二分法への批判も出てる。うちも同じ射程に入ってるという自覚はある
調べる前は対応表を作る気でいたので、作れないという結論はちょっとつまらない。ただ「テト女っぽいってどういうこと?」の答えは書けたので、俺としてはまあこれでいいかと思ってる。
出典・関連記事
この続きを3本書いた。16タイプごとの見立ては16タイプを線に載せたら4か所にしか分かれなかった話、ラブタイプと並べたほうは重なる軸がMBTIのときとは違った話、4タイプ同士の相性は相性表を埋めたら出典が2組だけだった話。うちのアプリの実データを覗いた記事はMBTI診断データの分析で、これは別方向の話。
- テト/エゲンの意味・4タイプの特徴・有名人の例・28問の診断に63万人以上が参加したという話: Forbes JAPAN「『BTSのジョングクはテト男』韓国Z世代発の『テト―エゲン』性格分類とは?」(2025年8月6日)
- 由来の経緯(2024年春のインスタ漫画→2025年にTikTok・Instagramで拡散)・相性の組み合わせ・「科学的な裏付けはなく、あくまでエンタメ的に楽しむことが前提」の記述: Yahoo!ニュース エキスパート(西嶋広美)「韓国のZ世代に流行中の『テトーエゲン』テストとは?」(2025年8月14日)
- MBTIの後続トレンドとしての位置づけ・固定観念への懸念が研究者から出ているという指摘: note・韓国カルチャー研究所「韓国の若者がMBTIの次に注目する新たな性格診断?!」(2025年5月21日)
- 「非科学的」という指摘と、複数の心理学研究者のコメント(韓国語): 핸드메이커「『에겐 테토 테스트』는 재미일까, 성(性)의 이분법일까」(2025年6月30日)
- 性別の二分法への批判と「疲れ」の側の議論(韓国語): Harper's BAZAAR Korea「테토와 에겐, 유독 피로하게 느껴진다면」(2025年7月13日)
※この記事はうちの実データの分析ではなく、公開されている記事を読んで整理したものです。テト/エゲンの説明はいずれも「そう言われている」という紹介であって、性格をホルモンや4文字で割り切れるという主張ではありません。MBTIは自己申告に基づく性格分類であり、学術的な信頼性・妥当性には議論があります。テト/エゲンについても、本文のとおり科学的な裏付けはないとされています。どちらも人を判定する道具ではなく、話のとっかかりとして扱っています。
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この記事のよくある質問
テト女・エゲン女って、どういう意味?
韓国発の性格の呼び名です。テトはテストステロン(男性ホルモン)、エゲンはエストロゲン(女性ホルモン)から名前を取った造語で、テト女は活発で独立心が強く現実志向、エゲン女は感性が豊かで穏やか、と言われています。ホルモンの数値を測る話ではなく、性格の傾向を大まかに2つに分ける言い方として使われています。
MBTIとテト/エゲンは対応させられる?
厳密な対応表は作れません。いちばん近いのは思考/感情(T/F)の軸で、外向/内向(E/I)も少し混ざっている、という程度までは言えます。ただしテト/エゲンは1本の線、MBTIは4本の軸で、しかもテト/エゲンは「テト男・テト女」のように性別とセットになっています。人の切り分け方そのものが違うため、16タイプとの変換表にはできないと考えています。
ホルモンの量で性格が決まるということ?
いいえ。テト/エゲンはホルモンの名前を借りた言葉で、実際のホルモン値を測ったり、その多少で性格を説明する話ではありません。Yahoo!ニュースに掲載された記事も「科学的な裏付けはなく、あくまでエンタメ的に楽しむことが前提」としており、韓国語のメディアでは「非科学的」という指摘や、性別の二分法を強めることへの懸念も出ています。
この記事の内容はどこから?
Forbes JAPAN、Yahoo!ニュース エキスパート、note(韓国カルチャー研究所)といった日本語の記事と、핸드메이커・Harper's BAZAAR Koreaなど韓国語の記事を読んで整理したものです。当サービスの利用データを分析した記事ではありません。出典は記事末尾にURL付きで並べています。






